なぜVine Linuxを使うのか
近ごろはWindowsで動くサーバーソフトもたくさん出てきて、やろうと思えばWindowsでも自宅サーバーを運営できる。なぜわざわざ難しそうなLinuxでサーバーをたてようとするのか? 自分の場合、Linuxがどんなものか試してみたいという知的好奇心から始めたけれど、今ではWindowsベースのサーバーなど使う気になれない。まあ知り合いがたまに見に来るだけの小規模なサーバーならWindowsでも大丈夫かもしれないが、不特定多数に公開するサーバーである程度アクセスがあるのであればやはりLinuxでないと安心して任せられない。
軽くて強いLinux
「軽くて強い」というと建材のCMみたいだが、この言葉はまさにLinuxにあてはまる。
最初にLinuxで自宅サーバーを始めたときは「Celeron 300MHz、メモリー64MB」のノートパソコンだった。Windowsなら起動するかどうかもあやしいスペックだが、こんなマシンでも一日のヒット数が1万以上のウェブサーバーを問題なくこなせた。しかも、ウェブだけでなく、メールサーバーやFTPサーバー、ファイルサーバーも同じノートで動かしていた。さすがにあとでメモリーを増設したが、それでも192MBである。
今では将来を見越してサーバーをパワーアップし、「Athlon 1700+、メモリー512MB」でサーバーを動かしているが、リソースが余りまくっている。単純なウェブサーバーであればかなりの大規模なサイトを運営できそうな気がする。
Linuxは有名企業のサイトでも使われている。もちろんハードウェアのパワーは違うけれども、コアになる部分に差はない。カーネルは同じものを使っているし、ウェブサーバーはApacheが標準だ。そんなソフトを無料で自宅サーバーに使えるのはある意味驚きである。
一方のWindowsでは、本格的なサーバーを立ち上げようとすれば、10万円以上もするサーバー版のパッケージを購入しないといけない。WindowsXPでもサーバーをできなくはないが、Linuxに比べればサーバーとしてはオモチャみたいなものだ(もちろんデスクトップでのWindowsの優秀さは否定しない)。
Linuxのもうひとつの良さは安定性にすぐれているところ。初代のノートのサーバーは半年以上一度も再起動しなかった。というか、カスタマイズを次々に重ねていったので再起動したときに環境が再現できるか分からず、怖くて再起動できなかったというのが真相だったのだが、それでも快調に動いていてメールやウェブでトラブルはなかった。
ウェブが止まるのはあきらめるとして、メールが止まるととたんに仕事に障害がでるために最初は仕事のメールでは使っていなかった。だが、Linuxがかなり安定して動くことが分かったので、少しずつ仕事のメールも自宅サーバーへと移行していった。
初代のサーバーを止めたのはHDDの調子が悪くなったため。OSよりも先にハードウェアがいかれてしまった。これくらいWindowsが安定して動いてくれれば仕事もどんどんはかどるのに。
現在ではバックアップ用に2台目のサーバーを設置したほか、停電に備えてUPSも導入している。ここまでやればレンタルサーバーよりも安心して使えそうだ。
Linuxは難しい
反対にLinuxにも弱点がある。軽いというのはあくまでGUI環境を使わないときの話だ。X Windowの上でGUIの操作を行おうとすれば、Windowsと同等かそれ以上に重く、メモリーもCPUパワーも必要とする。
つまり非力なマシンでサーバーを運営しようとするなら、キーボードからコマンドでさまざまな操作や設定をおこなう覚悟が必要になる。WindowsではGUI環境からマウスで操作ができるのに比べると、Linuxの敷居はかなり高い。中途半端な知識で敷居をまたぐことは無理だ。
しかし、サーバーの設定の基本的な部分は共通しているので、ほかのユーザーのやり方をまねればそれほどの困難なくサーバーを立ち上げられる。そこから先に進もうとすればLinuxの勉強を本格的にしなければならないが、たぶんそのころにはLinuxの面白さにとりつかれ、勉強すること自体が楽しみになっていると思う。
キーボードから操作を行うのは見方を変えると強力な武器ともなる。Linuxのサーバーの前にいなくても、ほかのパソコンからリモートでそうさができるのだ。同じLANの中のパソコンでなくてもよく、インターネットのどこからでも自宅サーバーにアクセスして、サーバーの設定を見ることができる。
Windowsでもリモートデスクトップという機能はあるが、これを使う設定はかなり面倒だし、接続する側も接続される側もパワーが必要になる。また、接続する側もWindowsなどマイクロソフトの環境でなければならない。それに比べるとテキストだけのLinuxならどんな環境からでもアクセスできるのがべんりなところだ。
実際にうちの自宅サーバーも直接操作をすることはほとんどない。いつもWindowsのパソコンからLinuxにログインしてさまざまな管理をおこなっている。
Vine Linuxのメリット
Linuxと一口に言ってもさまざまなディストリビューションがある。その中からVine Linuxを選んだのは次のような理由からだ。最近はFedora Coreの人気が高く、解説本が何冊も出版されているのに大使、Vine Linuxはどちらかというとあまり注目されていないように思える。しかし、とってもいいディストリビューションなので、これからサーバー構築を始める人にはぜひおすすめしたい。
- Vine LinuxのウェブサイトからすぐにインストールCDのイメージをダウンロードできる。その気になればすぐに始められる。
- Vine Linuxで自宅サーバーを運営している人が多い。ユーザーが多いということは、それだけ情報も手に入りやすい。
- 枯れて安定したパッケージが選択されている。サーバーは安定性が重要なので、新しければいいというものではない。
- 構成がシンプル。CD1枚に収まるのでインストールが簡単。あれもこれもと不要なものまでインストールされることがない。
- 日本語化が進んでいる。どのパッケージも日本語が使えるので頭を悩ませなくてもいい。
サーバー管理の基本方針
そういうわけで、このサイトではGUIをいっさい使わずにLinuxを管理する方法を紹介する。
もともとは自分のサーバー構築メモとして作ったものだ。1台目のサーバーはいろんなサイトを参考にしながら構築したのだが、どこをどう設定したのか分からなくなってしまった。2台目は轍を踏むまいと初めから詳細なメモを取りながら、構築を進めていった。また、関連する情報で役に立ちそうなものもいっしょに書き込んでいった。そのメモを整理したものがこのサイトだ。
GUIを使わないというのは、GUIでできる設定が限られているため。ある部分はGUIのツールを使い、別の部分はテキストの設定ファイルを編集するというのはかえって面倒だと思う。それなら最初からツールに頼ることなく、すべてテキストベースで作業を行った方がいい。
また、GUIのツールというのは環境が変わると応用がきかない。せっかく身につけた知識を、別の場所に行くと生かすことができないというのは歯がゆいものだ。